邂逅

邂逅
「現在見ている太陽の光は、8分前の光。おおいぬ座のシリウスから届く光は、7年前。知ってた?」 彼は病室で、持参したクッキーを食べる私に自慢げに言った。 知らなかったが、どこかで聞いたことあるような話だったので「ネットで得た知識をそんな鼻高々に話さないの」と一蹴した。 いわゆる職場恋愛をし、同棲を開始した直後に、彼の膵臓に癌が見つかった。 彼はとても前向きで明るい性格の為、病人という感じが全くなく、私自身も彼の病気は治るものだと信じきっていた。
徳永
徳永
何故だか分からないけど、いつの間にか文章を書いてしまう病の大人。少し暗めの短編多め。去るもの追わず来るもの拒まず。