夕暮れと飲み物と推しと私 その12 『夜は短し歩けよ乙女』
『夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦』
住み慣れた町でも、歩いてみれば冒険が待っていることもある。
数年前の夏。私は、帰宅中のバスの車窓から、ふと見慣れない道があるのを見つけた。
そこは、葬儀屋の隣にある一軒家とアパートの間にある森の中にあった。森の中へと続く階段だった。何やら階段の横に看板らしきものがあるが、バスの車窓からは何が書いてあるかは、読み取ることができなかった。
それから少し経った頃。私は、休日にその階段のある場所の近くへと寄ることがあり、何か導かれているような気持ちになり、意を決してその階段を上ることにした。
先ずは、看板を確認してみたが、使われている木材が黒ずんで、判読することができなかった。謎の階段は、完全に未知へと続く階段に変貌した。
私は、少し息を吐き、階段を上り始める。階段の一段一段は、少し高めだった。森の中を進んでいく。夏ということもあり、涼しい森の中とはいえ、汗が出てくる。5分ほど階段を上ると、開けた場所へ出た。
そこにあったのは、神社だった。高台にポツンと、小さな赤い鳥居と本殿があるだけの神社。高台から下の方を見てみると、野球場になっていた。そこで気づいた。ここは、子供の頃に兄が所属していた少年野球チームの練習をしていた公園の高台だったのだ。子供の頃に神社があったのかは、はっきりと覚えていない。それでも、奇妙な縁だと思う。ひと夏の小さな冒険をした私は、小さな神社を参拝して家へと帰った。
『夜は短し歩けよ乙女』は、京都を舞台とした「先輩」と「黒髪の乙女」の奇想天外な恋愛ファンタジーだ。あっちとこっちを行ったり来たりして、「偶然の出会い」から始まる冒険が繰り広がれていく。思わぬ縁が、思わぬ出来事を連れてくる。独特な森見登美彦節も魅力の1つだ。貴方もぜひ、お気に入りの飲み物と共に、この冒険の世界に飛び込んでみてほしい。その冒険との出会いもきっと何かの縁のひとつだ。
0
閲覧数: 50
文字数: 814
カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2026/9/5 4:02
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。
あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。
カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。