過ぎた日のたね 3

過ぎた日のたね 3
   *  *  *  *  *    チャイムが鳴ったと同時に、あいつが席を立ってこちらに向かってくるのが視界に入った。 俺は気づいていないフリをして頬杖をつく。 カサ、という音に思わず口角が上がる。 「なに?いらないの?」 「いらない」 そいつがムスッとした顔で言った。 「昨日買おうとしてたじゃん。せっかくだから貰えばいいのに。お金返さなくていいし、0円だよ?」
築2年
築2年