動機の欠けたミステリー

 探偵で食っていけるのは推理小説の中だけだ。私立探偵を営んでる早野康二はそう思った。実のところ、早野に推理なんてできない。ただ、調査が人より得意なだけだった。その才能を活かし、私立探偵事務所をたてた。いや、才能を無駄にしての間違いと言った方が正確だろう。  とにかく、早野は日々を退屈に過ごし、時々くる浮気調査で小銭を稼ぎ、あとは維持費を差し引いて赤字になる毎日を送っていた。  そんな中、玄関のベルが音を立てる。 「すみません、早野探偵事務所でしょうか?」  黒髪のストレートで眼鏡をかけている、いわゆる美人のお姉さんという風格だった。早野は面倒な浮気調査が始まるのかと思い、いささか気分が落ち込んだが、すぐに仕事の作り笑いをして応対する。 「はい。私は早野探偵事務所の私立探偵である早野康二です。今日はいかがなさいましたでしょうか?」  早野が尋ねると、女性は身を整えてから席へと座った。 「私の名前は福井咲と申します。今日はあなたに推理してほしいことがあり、ここを訪ねました」 「推理?」 「私の父、福井智己についてです」
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2026/11/7 15:45
最終編集日時: 2026/11/7 16:02
シャイニー
シャイニー
こんにちは。いろんなジャンルを書いていきたいと思います。