深海少年

深海少年
俺はどこまで沈んでゆくのだろうか。 目を開けなくてもわかる、ここは深海だ。 軽く抱きしめるかのような水圧も、重力に従って沈む俺を撫でる水流も、髪の毛から足先まで感じる一貫した水温も、今や全てが心地いい。 ここは深海、深い深い意識も眠るこの深海で、俺を妨げるものは何も無い。 ゆりかごで眠る赤子に虫を放る者があるだろうか。 きっと誰もが部屋を暗くし、物音を立てぬようその場から去ることだろう。 濁流から離れ、意識を落とし、ただただ目を閉じてさえすればいい。 嗚呼、俺は今なんて幸せなのだろうか。 「沈みますか、浮かびますか?」
Ego House
Ego House
お久しぶりです、そうでない方は初めまして。 私悵虫と申します。