鬼と人間②

ある日弟鬼は、静かな森の中を歩いていました。 すると、茂みの奥から何やら音がします。 近づいて見てみると、そこには兎でも猿でもない動物の子どもがいます。弟鬼はその姿が人間の子どもだということを何故だか確実に理解できました。 人間の少女は背伸びをして桃の木に手を目一杯伸ばしています。 しかし、あと少しのところで届きません。 鬼は初めてみる、人間の姿に怯えながらも、 自分の中に湧き起こる好奇心を抑えきれず 幼い手を懸命に伸ばす少女に隠れながら声をかけてしまいました。
ねも