バレッタ婆さんの薬(後編)

バレッタ婆さんの薬(後編)
あれから、殆ど毎日、喫茶店で待ち合わせては、読み書きを教えている。ハナムラさんはいつも一足先にやって来て、初めて相席したのと同じ席に座り、慌てん坊ブレンドを飲みながら待ってくれていた。どうやら、一度気に入ったらずっと頼み続けるタイプらしい。それなのに、今日は一向に姿を現さない。いくら待っても中々来ないのだ。 俺は、ふとあの時貰った名刺を見る。 「…行ってみるか。」 コーヒーを飲み終えた俺は、席を立って店を出た。それから十分ほどで、到着する。ハナムラさんの工房は、意外と近いのだ。 ハナムラさんの工房は、古いコンクリートのレンガを岩のような粗い質感にした外壁に囲われていた。その中には、丁寧に整備された雑草ひとつない庭が広がる。しかし、そんなところに感動している暇など、俺にはなかった。ここに来た時、この“花村”と書かれた表札の前に立った瞬間、俺は目を疑った。工房の外壁には、はっきりとした色のスプレーで書かれた文字や、無数の貼り紙がされていた。「消えろ」「死ね」「ガラクタ屋」「ここの商品は買わない方がいい」「ガラクタ作ってる」「ブス」「休業中でーす♪」などなど。とても信じられないような暴言の数々が、彼女の家の壁を埋め尽くしていた。誰が一体こんな事を…。ハナムラさんはこの壁を見てどう思ったのだろうか。俺なら気が狂いそうになる。そりゃあ、来れないよ。そう思った。空いた口から零れ落ちそうな、表現しようのない言葉は、行き場をなくして泡のように消えた。 「こんにちはー。ハナムラさーん?いますか?」 俺は工房内を見回した。奥の方で、影が動いた。机に突っ伏していたようだった。 「…ミネタさん。」 泣いていた。顔を上げた彼女の目は赤く腫れ、声は小さく嗄れていた。震えた手が、強く袖を握り締めた。 「…えっと、ハナムラさん今日は来なかったので、気になって来ちゃいました。」
あいびぃ
あいびぃ
自己紹介カード 発動!!! 【レベル】15 【属性】ちゅー学生 【習性】投稿頻度不安定、定期的に更新不可になる、フォローもフォロバも気分次第、❤︎とコメントくれる人を好む、困ったら募集に参加 【特性】どんな作品にもファンタジーが香る 【メッセージ】 初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!