フレイル=サモン〈CⅩⅩⅩⅩⅨ〉

フレイル=サモン〈CⅩⅩⅩⅩⅨ〉
サウラ国領土〈ジェノバ中央都市・ジェノバ王宮「食事塔」〉 「腹減ったぁ…」 青年が一人、呻きながら食事塔の1階〜3階までを登り終える。蹌踉とした足取りでここまでやってきた彼は、服装を見るに護衛隊員らしかった。  金髪のてっぺんから伸びた長いアホ毛の先端が、空腹に絶望する美顔の真上まで垂れている。 「だめだ。もう歩けないぃ……」 青年は近くの空のテーブルにぐったりともたれ掛かった。お腹が空いたからという理由だけでは説明がつかないほど、彼はすっかり意気消沈している。とーー 「はあ…ほら起きてコール。念願の朝食だろう」 それは、青年よりも少し後から塔を上がってきた別の男による嘆息だった。机に蹲った金髪の軍人を“コール”と呼んだ彼は、呆れた様子で自身の黒髪を掻く。  コールは残された力で反論しようとした。
クリオネ
クリオネ
※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。