タケウチは立ち上がる
「救世主……」
呟いたのはカンテラだ。
「貴方の瞳には淀みがない。いつも分け隔てなく事実を観測し、正しい判断と知恵を授けて下さった。詳しく聞かせて下さいませんか」
厳かに、そして敬意を払った問いを口にしながら、カンテラは吟遊詩人の側へ歩み寄った。
[過去の遺物を呼び起こせるのは、私と彼だけなのだ。しかし彼ならば、私よりも多くのものを復活させられるだろう]
「なにか根拠があるのですね」
タケウチとライーロは息を潜め、会話する二人を見つめている。
[彼は私と同じ世代を生きている。スーツと船を一眼見て確信した。故に救世主たり得るのだ]
吟遊詩人は杖の先を瓦礫の山へ向けたあと、再びタケウチの方へと動かした。
「具体的には、どういう……?」
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2021/11/17 20:38
アバディーン・アンガス@創作アカ
ローファンタジーや一風変わった雰囲気の作品が大好物。
主にダークファンタジーとかサイバーパンクとか、好きな要素をごった煮した作品を鋭意執筆中です。
「好きじゃないけど面白い」と言われる作品を目指しています。
合間に書いた短編を気ままに投稿していく予定です。