僕たちを見降ろす月の下で
「ねぇじゃんけんしようよ」
翡翠先輩はにこっと笑いそう言う。
放課後の教室で2人。なぜじゃんけんなどしなければならないのだ。そう思った。
だが、先輩がそういった突拍子もない行動をする人だということは、この2年間で嫌というほど知っている。とくに断る理由もないのですることにした。僕が手を出すと、先輩も手を出した。
「...一応聞きますけど、これなんかの奢りじゃんけんとかないですよね。僕今金ないんですけど...」
「うーん、別になにも考えてないなぁ」
先輩はわざとらしく顎に手を当てた。どうせなにも考えてないのだろう、と思った。
しかし、そういうわざとらしい動作をするところも、かわいらしくて、なんというか好きだ。
この高校に入るまで、僕は恋心なんて持ったことはなかった。誰もかれもに裏があり、いつでも他人のことを裏切れる。友達であっても、恋人であっても、いつかは人は裏切る。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/4/26 15:18
ところてん侍