僕たちを見降ろす月の下で

僕たちを見降ろす月の下で
「ねぇじゃんけんしようよ」 翡翠先輩はにこっと笑いそう言う。 放課後の教室で2人。なぜじゃんけんなどしなければならないのだ。そう思った。 だが、先輩がそういった突拍子もない行動をする人だということは、この2年間で嫌というほど知っている。とくに断る理由もないのですることにした。僕が手を出すと、先輩も手を出した。 「...一応聞きますけど、これなんかの奢りじゃんけんとかないですよね。僕今金ないんですけど...」 「うーん、別になにも考えてないなぁ」 先輩はわざとらしく顎に手を当てた。どうせなにも考えてないのだろう、と思った。 しかし、そういうわざとらしい動作をするところも、かわいらしくて、なんというか好きだ。 この高校に入るまで、僕は恋心なんて持ったことはなかった。誰もかれもに裏があり、いつでも他人のことを裏切れる。友達であっても、恋人であっても、いつかは人は裏切る。
ところてん侍