タケウチは気が付いてしまう

 紅い紅い星空の下、荒野に描かれた地平線の上を三人の旅人が歩く。  内二人は行く先も知らずに。 「吟遊詩人も、流星を見てこちらに?」  カンテラの問いかけに吟遊詩人は頷いた。  仕草には何処となく高揚しているような雰囲気がある。顔色は相も変わらず窺えないが、それでもタケウチがそう感じる程に、大きな動作で。 [私の役目も終わりが近い。長かった……実に長かった]  言い終えたところで、吟遊詩人は足を止めた。そして杖を振るい、先端は左手の方向。指し示す方角には、移動する巨大な陰影の群れ。  カンテラは目を細めて呟く。 「ジュラーフの群れだ……」  付け加えるように吟遊詩人の声が続く。
アバディーン・アンガス@創作アカ
ローファンタジーや一風変わった雰囲気の作品が大好物。 主にダークファンタジーとかサイバーパンクとか、好きな要素をごった煮した作品を鋭意執筆中です。 「好きじゃないけど面白い」と言われる作品を目指しています。 合間に書いた短編を気ままに投稿していく予定です。