非現実的量子の海の中で

非現実的量子の海の中で
「ふぅ…」 テラスで日を望み、口にミルクティーを流し込む。贅沢な時間を過ごしていた私は、その出来事が起こっても尚冷静さを維持する事ができなかったのである。 「え…」 9.80m/sの加速度に従い、私の手から滑り落ちたティーカップは地面に衝突する。勿論、その時にパリンと鳴った音が私の耳に届く事は無い。 「何…あれ…」 だって、目の前の暮れかけた太陽が止まり、そしてまるでエラーを起こしたかのように点滅しているのだから。  ―状況を整理しよう。今私が居るのは電脳世界。いわば仮想現実である。動かない身体を脱ぎ捨てて此処に来たと言うのはしっかりと覚えている。で、あるならば。あれは恐らくこの世界を管理するサーバーの演算処理が間に合わない事態が起こり、まも無く崩壊を迎えるのであろう。  大凡外部で誰かがこの機械に覆われた世界を嫌ったのだろう。即ちこの世界が消える事は回避出来ないだろう。説明書によれば予備電源の残量は30分。それが私の余命となったのだ。
しらたき
しらたき
しらたきです。普段は鍋の具としてぐつぐつ煮られています。ほどほどによろしくお願いします。