モルテ

モルテ
ロレンスは、冬の爽快な空気と、喪中のように辛気臭い感傷に浸っていた。夜も深まり、神の御加護から最も遠ざかる、ある夜更けの事である。 モンタギュー家とキャピュレット家の惨事から時は流れたが、心を蝕む溝は、日に日に増していくのだった。それは例えば、主なき子犬や、飢えた子供の姿を、脳裏に思い出す事と同義であった。それだけではない。その事件は、己の無責任な善意によって成り立っているのだと、一種の不快で御し難い感情も孕んでいるのだった。 私は本当に善行をしたのかと、焦燥が、ロレンスの身を痛々しい程に蝕んでいた。私はただの、感化しがたい厄介な世話焼きでしかないのではと、それは嘲笑に近しい性質を帯びており、愚直な彼の心に、明確な一撃を与えるには十分だった。 蝋燭が灯り、仲間はパンを噛み締め、ワインでそれを流し込む。 ロレンスも、できることなら、この罪の意識さえ一緒に流してしまえればどれほど良かっただろうかと、己の境遇を恨んだ。だが、その彼の意志に反して、喉は食事を受け入れられず、ただ諦めたい衝動に駆られていた。 そうして、彼の脚は、ある場所に向かっていた。 重い足取りで向かった先は、紛れもない、単なる告解室に過ぎなかった。が、普段の時分と違い、彼は、赦しを与える司祭としてではなく、許しを求めて縋る信者として訪れたのだった。
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