Sa véritable intention

Sa véritable intention
「……久しぶり、だね」  そう言って彼女ははにかんだ。 「どうしたの?急に空港なんかに呼び出して……」  2年ぶりに幼馴染から連絡が来たと思ったらこんなところに呼び出されるとは。男が2月14日に呼び出されるところってもっと近場じゃなかったっけ。校舎裏とか。 「実はね、フランスでお菓子作り学べることになって……」 「そうなの? おめでとう、ずっと行きたいって言ってたもんね」 「うん、ありがとう。唯斗が応援してくれてたから頑張れたよ」 「そう言ってもらえると嬉しいなぁ……向こうでも頑張ってね」 「うん、頑張る。それでね、これを渡したくて」  彼女が差し出してきたのは手のひらサイズの赤い箱。淡いピンクのリボンがかかっていて、まるで恋人へのプレゼントだった。
綴木 継人
綴木 継人
気ままに書いたりしてます。