春風

帰り道にある白いアパート。それはまるで苺が逃げ出したショートケーキのようなものだった。 夕方の光が当たると、その白さは少しだけ寂しく見える。 春風が私の髪を揺らし、春一番の訪れを囁いた。 冬のあいだ、ずっと止まっていた時間が、ゆっくりと動き出すような気がした。 枯れた枝には今にも弾けそうなポップコーンのような蕾が付いている。 まだ冷たい空気の中で、その小さな蕾だけが先に春を知っているみたいだった。 私は足を止めて、しばらくそれを見上げていた。 春。新しい季節。冬のような凍てつく寒さは消え、暖かな陽気に包まれる。 街に咲くピンクはまるで新しい季節の巡りを祝福しているようだった。
消化
消化
言葉が好きで、言葉を紡ぐ人が好きで。そんな人になれるよう、毎日1作書いてます