母の手とおにぎり
冬にはこたつにもなる大きなローテーブルの上に、水が入った茶碗が一つ。
その横に、隅に塩がのっている大皿が一枚。
それから、自家製の梅干し。
母がその前に座る。炊飯器から大きなボウルに、しゃもじでご飯を移していく。湯気が立つほかほかのご飯から甘いお米のにおいがする。
両手に茶碗の水をたっぷりつけ、多めに塩をすくいとる。手のひらにまんべんなくのばし、しゃもじでご飯一杯すくう。左手にのせて、ご飯の真ん中に梅干を一つのせる。それを右手でご飯をかぶせ、ふんわりと包み込む。軽く握って、一回、二回、と回していると角の丸い三角形ができてくる。ふたつの手のひらに覆われたそれは、くるん、くるん、とテンポよく回され、仕上げにぎゅっと力を込められたら大皿に。
白米をさらに食欲を唆る物へと変換する作業を黙々とする母。その同じ空間に、テレビを観ている父と、寝そべりマンガを読みつつ、出来上がるおにぎりの数を確認している私。
よしよし、これだけあれば一つぐらい食べてもいいだろう。大皿におにぎりの列が出来たのを確認し手を伸ばす。父も嬉しそうに手を伸ばす。
一個食べれば、もう一個。母のおにぎりは塩が多い。さらに自家製の梅干しも塩が多い。それでも母の作るおにぎりは美味い。
「母ちゃんのむすびはなんでこんなにうまいんだろうなぁ」食べる度に父が言う。
「誰が作っても一緒よ」手を止めず、目尻にしわをよせながら母が答える。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2024/10/4 3:29
はるきち
いつも読ませてくださり、ありがとうございますm(_ _)m
読むのが好き。書くのは下手の物好き。
よろしくお願いいたします。