垢嘗

『垢嘗─あかねぶり─の事』  風呂桶や風呂に溜まつた垢を嘗め喰う怪  垢とは人の煩悩を宿す滓にて 垢嘗は其を滋養とす  穢れ在る処に涌き 人を惑わす  風見家の屋敷に幾芽と云う若い使用人が勤め出した時、一人息子である晋太郎は胸をときめかせた。  十五になったばかりの内気な少年の眼には、肉付きの善い幾芽の肢体が輝いて視えたのだ。  幼い頃に母を亡くした事も幾らか関係していたのかも知れぬ。だが、彼自身の意識としては、幾芽とは魅惑の権化に他ならなかった。
積山 精々
積山 精々
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