第一章「ある男。」

いつもの通勤路の曲がり角。そこにそのカフェはある。 周りの都会感とはかけ離れた、温かみのある、小さなログハウス。 そこを通る度に、自分の煙草の匂いが香ばしいコーヒーの匂いでかき消される。 コーヒーは苦くて飲めないが、それが不思議と心地よかった。 私がその店だけがもつ雰囲気に魅了されたのは、約3か月前だ。 ある日の朝、大寝坊をした挙句に通り雨に襲われた私は、全てを諦めて会社に休みの電話を入れた。 その時、目の前の店の存在に気づいた。 雨の湿気さを感じない、焼きたてのパンの匂いとコーヒーの香りが、朝ご飯を食べ損ねた私の胃を刺激させた。 私は何も考えずに店に入った。 チリンっ。
花結
花結
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