限りある死
この世は終わることすら許されないのか。病気はない。成人すれば老いることもない。事故に遭っても、たちまち身体は再生していく。毒ですら人類の敵ではなくなった。
死は上級階級のみが持つ権利だ。
貧しくもない、裕福と呼べるほどでもない俺は、庶民街の大通りで空を見上げた。すると、遠くで飛んでいた烏が羽ばたきを止め、地面に落下していったのだ。
「ママ、カラスが!」
背後から少女の声が聞こえ、振り返る。
「私もいつか、ああなっちゃうのー?」
「大丈夫だよ。私たちは死なないから」
『死なない』のではなく、『死ねない』の間違いだ。小さな溜め息を吐き、家路へと戻る。
何十年、何百年と生きてきた俺には『生』への執着は残っていない。世界が終わる時には、人類も一緒に――そう願って止まない。
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文字数: 516
カテゴリー: SF
投稿日時: 2026/6/3 11:40
最終編集日時: 2026/6/25 21:17
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
七宮叶歌
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