第3回NSS決勝 魔法の言葉
ジェイクは長いこと思い悩んでいた。悩みの種はもちろん、あの魔法の言葉のことだ。ことの発端は息子が継いだ工芸店の経営が傾きかけていたことにある。
ジェイクの家は先祖代々、工芸店を営んでいる。しかし経営は決して順風満帆でなく、代が変わるごとに必ずと言ってよいほど閉店の危機に瀕してきた。それでも潰れることなく営業できているのは、海を渡って来た1代目から代々言い伝えられてきたあの魔法の言葉のおかげと言ってよいだろう。
クリッソ・ド・コマワール。
経営が苦しい時は、先代から言葉の意味を教われば店はなんとか立ち直る。また、あの言葉があることで余裕が生まれ、落ち着いて仕事ができた。店を継いで間もない頃に父が拵えた借金で潰れかけていた店をなんとか立ち直すことができたのも、あの言葉があるおかげに違いない。
ジェイクが言葉の意味を知ったのは店を継いだ20年後のこと。経営に失敗し店も閉店寸前だったとき、先代の父が手紙でジェイクに言葉の意味を教えてくれた。恐る恐る手紙の封を破ると、そこには一言。
『全てを跡継ぎに丸投げしなさい』
ジェイクは言葉の意味を息子に伝えるか否か、いまだ思い悩んでいる。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/1/11 21:11
除草機1号
基本超短編を書きます。ストーリーは何となく決めます。新参者ですがどうかよろしくお願いします。