台所

 人生が終わる時、もしくは地球か人類が終わる時、最後に食うメシについて考えることがまるで癖のようになっている。特に友人や知人から薦められたり連れられて出向いたメシ屋で食い終わった後にこの「癖」は現れる。  これといって繊細な味覚を持ち合わせているわけではない。当然グルメ気取りで食ったメシの感想を偉そうに語る能力などない。ただ「うまい」と思ったメシを食い終わった後に「癖」を行うのが日常茶飯事になっている。    今日は寿司を食った。食ったなんて偉そうに言えたものではない。チェーン店の回転寿司を職場の同僚に奢ってもらった。  気がおける数少ない友人であるその同僚に「癖」のことを話してみた。 「まあ、それってよく思うってか、考えるよ。」 「へえ、やっぱお前も考えるんだ。んで?もう結論は出てんの?」  テーブルに並んだ値段ごとに色分けされた皿を整理しながら訊ねた。 「まあ…ちょっとズレてるかもだけど。」
ハヤト