シクラメンの咲く丘で①

シクラメンの咲く丘で①
「この店まだやってたんだ。どうせ誰も来やしないのに。」 この山奥の喫茶店は、昔近くの村に住んでいた彼女にとって憩いの場であった。レトロだとか言ってられないほどに古くなっている店の外観は、感慨深いものがある。 喫茶店の年季の入ったドアを開けて、入った。 鉄の錆びた、耳を劈くような音がした。 「いらっしゃい。どこでもどうぞ。」 軽い会釈を受けた。彼女が通い詰めていた十数年前のマスターは忙しそうにコップを拭きながら客の相手をしていたが、今や拭くコップすらない。彼女にとっては、とても新鮮だった。 あの頃はまだ若かったマスターも、ロマンスグレーになっていた。 「マスター、覚えてる?十何年か前によく来てた、榊原 芽衣。」 「もしかして、いつもココア飲んでたメイちゃんでしょうか?」 「そう!いっつもココア飲んでたメイ!久しぶりだねマスター。」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!