記憶商人

記憶商人
私の仕事は、人の記憶を買い取ることだ。 表向きは「価値ある体験やスキルの提供」として企業や個人に売るための仕事だが、正直なところ、私は感情をほとんど持たない人間のように淡々と日々を過ごしていた。 ある日の午後、私のもとに依頼が届いた。 依頼人は匿名で、求めるのは「佐倉凛、あなたにしか買えない記憶」とだけ書かれていた。 私の心が、いつものように冷たく動かないはずだったのに、胸の奥が微かにざわついた。 ——弟の記憶。 私はすぐに気づいた。依頼文の書き方、淡白だけど切実なニュアンス。これは、弟の最後の記憶を探してほしい、ということだと。
なつめ
なつめ
気が向いたら投稿してきます 今まで書いてきたやつを載せていきます。感想お待ちしてます