夜の底で、君の名前を呼んだ
プロローグ
夜の街を走っていた。
サンダルはいつの間にか脱げて、足の裏はガラスを踏んだみたいに痛くて、血が滲んでた。それでも走った。追いかけてくるのは、あの男の怒鳴り声か、母のヒステリックな悲鳴か、それとも、逃げ場のない現実そのものか。
どこか遠くでパトカーのサイレンが鳴っている。でも、誰も私を助けてなんかくれない。助けて、なんて叫んだって、誰も聞こえないこの世界で。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/7/2 15:09
柏木 智
恋愛ものが好きです。あと感動ものとか。小説家で言うと有川浩さんや住野よるさんの作品が好きです。