日常はなく、あるのは暖かくない太陽の光 ①

日常はなく、あるのは暖かくない太陽の光 ①
序章 / 日常というものは、もうどこにもない 朝は、音で始まる。 枕元に置いたスマホが、画面もつけずに小さく振動する。バイブだけ。音は親に聞こえるから。 電気毛布のぬくもりがまだ足元に残っているうちに、通知を確認するのが、たぶんここ最近の習慣だ。 Twitter。インスタ。通知3件。DMが1件。 昨夜投稿した写真に、海外のアカウントからの「Cute!」と、同い年くらいの女の子の「髪色かわいい」のリプライ。 どっちも悪くない。けど、どっちも、自分に向けられたものじゃない気がする。 加工した輪郭、アプリで盛った瞳、ピントをぼかした背景。それらに向けられた反応。
あさきのぞみ
あさきのぞみ
世界観なんてない。 自分らしく生きる羅針盤すらない。 存在を証明する計算式もない 指折り数えること その日を繰り返す為に