日常はなく、あるのは暖かくない太陽の光 ①
序章 / 日常というものは、もうどこにもない
朝は、音で始まる。
枕元に置いたスマホが、画面もつけずに小さく振動する。バイブだけ。音は親に聞こえるから。
電気毛布のぬくもりがまだ足元に残っているうちに、通知を確認するのが、たぶんここ最近の習慣だ。
Twitter。インスタ。通知3件。DMが1件。
昨夜投稿した写真に、海外のアカウントからの「Cute!」と、同い年くらいの女の子の「髪色かわいい」のリプライ。
どっちも悪くない。けど、どっちも、自分に向けられたものじゃない気がする。
加工した輪郭、アプリで盛った瞳、ピントをぼかした背景。それらに向けられた反応。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/6/2 3:55
あさきのぞみ
世界観なんてない。
自分らしく生きる羅針盤すらない。
存在を証明する計算式もない
指折り数えること
その日を繰り返す為に