【超短編小説】「ゆうれい」
町の隅に小さな画材店がある。外観も店内も古ぼけている。
一人の少年が入ってくる。少年は絵の具が並べられている棚の前に立つ。
棚には色とりどりの色々な色の絵の具がある。
少年は棚の隅の一本のチューブを手に取る。そのチューブには「ゆうれい」と印字されている。
少年は蓋を開ける。そしてチューブを軽く握る。
チューブの先端から、透明の絵の具がにゅるりと出てくる。
少年は蓋を閉め、それをレジに持っていく。レジの中にいる店主の老人が少年に声をかける。
「お母さんを描くのかい」
少年は何も答えない。少年は小銭を出す。老人は小銭を受け取り絵の具を袋に詰め、少年に手渡す。
少年は去る。老人はそっと目を閉じる。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2024/11/5 14:59
六井 象
短いものを書いています