第4回NSS決勝戦 『青春弱者だった俺が持ち帰ったのは、激甘でハイスペックな同僚でした』

 入社して三年。酒が飲める年齢になったのに、俺は飲酒をしたことがない。女性との交流も縁遠くて免疫に乏しかった。どういう流れだったか。ゴールデンウィーク中に堰き止められていた俺のデスク業務を、半分引き取ってくれた同僚にぼやく。 「なら飲みに行こうぜ?」  快活に白い歯を見せ、彼は爆速で飲み会をセッティングした。    *  彼が予約した店は、マルゲリータがうまいらしいイタリアンバル(バルってなんだ?)。案内された席には既に二人の女性が座っていた。同僚と同じく陽の気配を纏う美人である。ツレがいるとは聞いてない。彼は俺の愚痴を見事に汲み、酒と女を雑に用意しやがった。お膳立てはありがたいが心積りをさせてくれ。同僚と女性陣と小洒落たテーブルに置かれた生ハムを、グルグルと時計回りに視界を揺らした。 「今日はよろひく、おおお願いしましゅ‼︎」  ……終わった。乾杯後は、会話の端々から配られる女性陣からの哀れみに、心を捩らせ酒をあおる。酒の苦味も女性との会話も、花を咲かせるには遅すぎた。  俺の飲酒デビューは記憶とともに無惨に散る。残ったのは二日酔いと、厚かましく俺のベッドを占領する同僚のみだった。
木のうろ野すゞめ
木のうろ野すゞめ
活動レベルが落ちてしまって、睡眠にリソースを割いています。 現在の執筆の優先度「書く習慣」>「Novelee」となっております。 雰囲気小説を書く人。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 2025/8/16〜 ※作品は全てフィクション ※無断転載、AI学習禁止