限界ホストの話 ⑱
俺は、しばらくの間、ただただ、呆然と、魂があるんだかないんだかわからない状態になっていた。揶揄するなら、〝ゾンビ〟が適切だろうか。そんな状態で会社に通ってるもんだから、当然、仕事の効率も下がってくる。でも、俺は、どうしても、ショックが大きすぎて、立ち直れなかったんだ。
三角は結婚。安藤はあの白川と…。そうして、みんな離れていってしまった。クソ……!思い出すだけでも、こんなに寂しくなるなんて。たくさんの人に支えられてここまで生きてこれたことに気付いてなかった。離れてから気付いた。俺は、独身チェリー野郎(二十九歳十一ヶ月)だったのか。
やばい、あと一ヶ月で三十歳になっちまう。あの、三角が言ってた、〝魔の三十代〟だ。なんなんだよ、「三十歳になっても女性経験がないと、男(同性)としか恋愛できなくなる」って。そんなことが現実にあってたまるか。
しかし、今、極限状態にある俺にとっては、その言葉が酷く脳裏にこびり付いていた。そうだ。今までは、一人でも大丈夫だと高を括っていたが、そういう年齢になると違う。仕事の効率が悪くなり、収入が減ると生活にも影響が当然出てくるはずだ。そういえば、最近、うちのロボット掃除機も節約のために眠ったままだった。食事も、ラーメン生活から安い駄菓子生活に変わった。健康状態もどんどん悪くなっている気がする。心臓が時々痛い。それに、目にも力が入ってしまってるせいか眼の奥が痛くてしょうがない。
これは、早急になんとかせねば。俺は必死に、どうしたらこの負のループを抜け出せるのか考えた。ひたすら歩き、考え続けた。そこで、一つの答えに辿り着いたのだ。それは……
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/10/29 19:09
すてぃぷ
こんにちは!すてぃぷです。生首をテーマにした作品『Neck Girls』を作っています(物語、LINEスタンプ、イラスト)。インスタはoz_ma21です。そちらの方もよろしくお願いします(*_ _)♡
全ての連載を合わせたものが『Neck Girls』です