タイムカプセル
夜の屋上の空気はぼんやりとしていた。
彼はフェンスにもたれたまま、スマホの録音アプリを開いている。赤い点が、規則正しく瞬いていた。
「これ、未来に送れるらしいよ」
唐突にそう言って、録音ボタンを押す。
「もしもし、二年後の俺。ちゃんと覚えてるか〜」
風がマイクに当たって、言葉がざらつく。
僕は少し離れた給水タンクの横でその様子を見ていた。僕達の距離はいつもこんな感じだった。
「今日、屋上に来た理由とか。たぶん忘れるだろうし」
彼は笑うでもなく、ただ続ける。
「でもさ忘れたほうがいいことって、あるよな」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/5/1 11:59
叶夢 衣緒。/海月様の猫
綺麗事が救いにならない夜の話。
正しさに置いていかれた感情と、
救われなかった青春の残骸。
優しい言葉ほど、いちばん痛い。
2023年
2月27日start
3月3日初投稿