風の舞踏会

風の舞踏会
 ビュウ、と風が吹く。  私はそれに押し流されて、硬いアスファルトの上を転がっていく。  飛ばされて、転がって、落ち着いたと思ったら、また飛ばされて。  ふと気が付いた。  そばで半透明な誰かが舞っていた。  私と同じように風に流されてきたのに、ふわふわと美しく踊っていた。  ああ、きっと、あなたは風の妖精なのね。  また、ビュウ、と風が鳴く。  私は押し流されて、でも、今度はあなたの元へ惹き込まれていく。  差し出されたその誘いに、そっと身を寄せて応える。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。