さよならのかわりに最後のキスを

さよならのかわりに最後のキスを
私たちは、独りだったずっとずっと独りだった。あなたと私は「愛されてない」という共通点でお互いを認識しあってお互いを愛していた、私もそれがいいと思った、だってその方が寂しくないし、ずっと泣いてるってことも無いし、一生隣に居て欲しい、いつしかそう思うようになってしまった。 彼の素性も知らず、私はただ寂しさを埋めたかった。彼が愛されなかった理由、それは体にできた傷と、治ることの無い病、私はそれでもあなたを愛したかった、彼は、私に「キスをすると病が移ってしまうかもしれない」そう言ってきた、そんなことどうでもよかった、彼を感じたい、温もりを、鼓動を、呼吸を、匂いを全て感じたかった。私は彼に「あなたは私と一緒、周りからはぶられ、貶され、叩かれてきた、だけど、私があなたを愛してみせる、最後の最後まで愛してみせる」と、約束した。次第に彼の症状は悪化の一途を辿って行った、彼の口から「もう少しで、さよならだね」さよならの一言が私を苦しくさせた。 私は彼の柔らかい乾いた唇にそっと私の唇を合わせ、「大好きだよ」と一言返した。彼は満足そうな顔で私を見て涙を流し息を引き取った。私は、私のした行動はこれで正解だったのだろうか、いや正解も不正解もない。彼の涙が証明してくれたのだから、、、、、
夜傍 宵夢
夜傍 宵夢
夜は何時でもすぐ傍に ただの高校生