自損

自損
雨上がり。 そんなふとした瞬間の気付きに酔う常(トコ)しえに、汝は薄氷(ウスライ)の涙を授けた。 何故泣いているのかと汝に問えど、汝はそのどこか見据えた氷細工の瞳を、こちらに向けることはない。 ただ己の足元にあるのは、日々に薄らいだ焦げ臭く灰色に塗れた虚空だった。 その虚空の味をこの舌に転がし何を鑑みるというのか。腹に住むこの何かが休まることは無い。 どこか脆弱で卑劣で歪んでいる。
叶希
叶希
初めまして かなきと申します。 主にファンタジーの小説 詩、作詞。を投稿します。よろしくお願いします