手向けと逃避行

目の前の視界は揺らいでいる。ぐにゃぐにゃと。安定しないまま進む廃トラックに、全てを呑んで濁った夜が置いていかれる。突如、ガタンッと車体が縦に大きく揺れると共に俺の吐き気は最高潮に達した。 「先輩、、限界っす。さーせん、、」 「……てめぇ、ばっかやろう! ふざけんな!」 おろおろと口元を抑える俺を見るや否や、稲田さんはすぐさま急ブレーキをかけてドアを押し開いた。外に出てすぐ、耐えていた胃の残留物がバタバタと地に落ちていった。 「……おえっ、、あーあ、俺の最後の晩餐がぁ……」
夜音。