【BL】色眼鏡

 俺の恋人は俺よりも背が高くて、俺よりも細い人だ。 「御幸くーん」  目の前にある細い腰に腕を回す。片腕でも収まってしまいそうな細い腰は、触れれば折れてしまいそうなのに見た目に反して男らしい硬さがある。肉付きの悪い腰に頬を寄せると少し痛いけれど、そこから伝わる体温が俺は好きだった。 「おいおい大我〜、甘えたがりか〜?」  いつもと同じ後輩を揶揄う調子で、だけれど決定的に異なる甘ったるい声が上から降ってくる。ついでに髪を混ぜる掌も。骨ばった指がぐしゃりと髪を混ぜていくのを、瞳を閉じて受け入れる。まるで猫でも可愛がるような仕草だ。きっと俺が猫なら御幸くんの傍にベタベタ張り付くんだろうな。あれ、それなら犬の方がそれっぽいかな。  そんなことを考えていると掌が頭から去っていった。寝そべって腰に抱きついたままで、御幸くんの顔を見上げる。そこには砂糖菓子でも溶かしたみたいなデロデロと甘ったるい顔をした御幸くんがいた。好きが滲み出ている顔だ。俺のことが好きだって顔に書いてある。
故食
故食
恋愛ものメインでBL/GL/NLなんでも書きます。でも多分大体BL。気が向いた時にポンと置いていきます。普段はpixivとかで二次創作書いてます。