野ざらし姫

野ざらし姫
春はあけぼの。 やうやう白くなりゆく山ぎは、 少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。                    「枕草子」冒頭より 貴族様の侍女をお務めなさった叔母様は、昨年、享年三十八で儚くなられた。ご子息が二人いらっしゃった。私の従兄弟にあたる彼らもまた、侍従としてそのお家がお入りになった。 私が商家へ奉公に出ている間、次男様の行方が分からなくなった。三日ほど経った早朝に東山の荒野で亡くなられた状態で見つかったという。 涙が溢れることはなかった。二度か、三度しか会ったことのない人だったからだ。叔母様に似て、上品な振る舞いをなさる方、以外の印象はなかった。従兄弟だとしても生きる場所が違った。生まれた身分と品格は異なるのだ。
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