第三章:小さな爪痕

第三章:小さな爪痕
光が産まれたひと月後、雪は光を連れて草平と街の自宅に戻った。 時が流れ、雪の自宅にも季節の彩りが戻ってきた。 雪の娘・光は、春の風と共にすくすくと成長していった。 明るく好奇心旺盛で、時に草平そっくりのいたずらっ子。 けれど、どこか山の匂いを感じさせる、不思議な子だった。 やがて光は保育園に通う年になった。 雪は朝、光を送り出すたびに胸の奥が少しだけざわつく。 (この子が“おおかみこども”だってこと、誰にも知られてはいけない。) 花から受け継いだ教えを、雪は光に丁寧に伝えていた。
エヴァンゲリオン
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