地獄の食卓、私が変えます!
闇鍋地獄、洗濯地獄、アイロン地獄と改革を重ねた私は、次なる業務地へと足を踏み入れた。アゼルの案内で辿り着いたその場所は、重たい鉄扉の奥に広がる、蒸気と焦げ臭さに満ちた空間だった。
「ここが……料理地獄?」
私は思わず眉をひそめた。厨房と呼ぶにはあまりに荒れ果てたその場所では、亡者たちが黙々と調理を続けていた。だが、その様子は“料理”とは程遠い。
調理器具は錆びつき、鍋の底は焦げ付き、包丁は刃こぼれしている。食材は腐敗し、色も匂いも異常だった。レシピは壁に貼られていたが、手順は支離滅裂で、意味を成していない。
亡者たちはその無意味な指示に従い、腐った食材を煮詰め、焼き焦がし、異臭を放つ料理を延々と作り続けていた。そして出来上がった料理を陰鬱な顔で、黙々と食べている。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/11/14 0:10
佐伯すみれ
初めまして。拙い作家ですがよろしくお願い致します。他にもNola、小説家になろうでも活動しています。