「綻び」 ー4ー 完結

「……」 ここは、どこだろう。微かに鼻腔をくすぐるのは、市販品のアルコール消毒か。滑らかな肌触りのシーツが、一つ無く敷かれている。その中で、重いまぶたを持ち上げた。最初に目に入ったのは、薄暗い室内で、頼りなく揺れる光。目を開けたと同時に、不安げに揺れる声が鼓膜を震わせる。 「っ起きたか?」 「……ッゲホ。」 思っていたよりも喉が乾燥していたみたいだ。声を出そうと師から呼気を吐き出し、声帯を震わせた瞬間。空咳をする。差し出された水を躇い無く飲む。自分の行動に少し驚いた。警戒心の欠片もないな……。 「…起きた」 少し遅れて返事を返してみる。ベッドの脇に腰を降ろしていたのは、明良だった。僅かに安堵の表情を浮かべたまま口を開く彼。 「……眠ってたのは十分くらいだよ。」 「そっか」 おそらくは、他愛もない会話をしようとしたのだろう。私も彼も意味のない話は苦手なようで、すぐに本題に入って来た。
あい
色んなジャンルに挑戦したいです!温かい目で見守って下さい…。