追憶の名残〜blue side story〜 第14章 絶望の淵でⅢ
俺だって、言ってはいけない言葉を言ってしまった事くらい分かっている。他人の気持ちを全く考えず、自分の感情も無視してあんな失言をするなんて。あの時はどうかしていた。
ただ、ミユの命だけは救いたいという思いに嘘は無い。たとえ犠牲を払う事になったとしても。
洗面台に置いてあったコップを手に取り、蛇口を捻る。流れてきた水をコップで掬い、溜め息を吐いた。
水を口に含むと、強烈な痛みが頬に広がる。堪らずに吐き出したものは真っ赤に染まっていた。それも新しい水が何も無かったように洗い流していく。
殺されるという事は、こんな痛みとは比べ物にならない程の苦痛を味わう事になるのだろう。前世で自分の命を粗末にしてきた俺だが、どうしようもなく怖い。身体が震え出しそうだ。
深呼吸をしながら、初めて鏡に目を遣った。頬が風船のように腫れ上がっている。フレアが心配するのも納得だ。
なんとかしてアレクに謝らなくては。気持ちを切り替え、洗面台に背を向ける。
恐らく、フレアがアレクに説教をしてくれているだろう。そう思ったのだが、既にフレアは部屋から姿を消していた。アレクだけが窓際に佇んで腕を組み、不機嫌そうにこちらを睨み付けている。
アレクは俺がドアを閉めるのを確認すると、その表情には似合わない言葉を口にした。
0
閲覧数: 15
文字数: 2362
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/5/17 12:08
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
ナナミヤ
ファンタジー、時々現代なSSと、恋愛ファンタジーな連載小説を載せています。
SS、連載小説ともに気まぐれ更新しています。
フォロー、♡、感想頂けると凄く嬉しいです♩
他サイトでは小説家になろう、NOVEL DAYSで投稿しています。
必ずフォロバする訳ではありませんので、ご了承下さい*ᵕᵕ
お題配布につきましては、連載している『お題配布』の頁をご確認下さい。
著作権は放棄しておりません。二次創作は歓迎ですが、掲載前に一言でも良いのでコメント下さい。
2025.1.23 start
Xなどはこちらから↓
https://lit.link/nanamiyanohako
お題でショートストーリーを競い合う『NSSコンテスト』次回2025.9.1.開催予定です。
第1回優勝者
ot 様