すき間商店 第一話

午前6時15分、抄子(しょうこ)は教科書と参考書がぱんぱんに入った鞄を手に持ち、玄関の前で靴を履いていた。 今日はセンター試験だ。 某国立大学を第一志望とする抄子にとって、今日は人生最大の大勝負である。 「あんたは心配せんでもなんとかなると信じちゃる。」 抄子の母は、ポンポンと抄子の肩を軽く叩いた。 「ありがとう。お母さん。」 抄子は声を震わせながら返事をした。 今朝は一段と寒かった。抄子は普段マフラーをしないのだが、今日に限ってはつけることにした。ボブの長さで、艶やかな黒髪に白とグレーのマフラーが似合う。 抄子な化粧っ気はないのだが、気品のある顔立ちとすらっとしたスタイルの美しい女子高生だった。
スカビオサ🪻
スカビオサ🪻
27歳会社員をしています。 自己表現の場として自分の作品を掲載していきたいと思います📖 少しでも感情を揺さぶれる作品を書いていきたい思います✏️