いただきます。

いただきます。
 いつからだろう。  食べ物を見ると、吐き気を催すようになったのは。  母が言った。  「食べ物全てに命があった」と。だから、感謝して頂く。そのために、「いただきます」という言葉がある、と。  その瞬間、私は自覚した。  命あったもの――私と同じように呼吸をし、心臓で身体中へと血液を送り出し、脳ミソでものを考える――を命ある自分は一部にして生きているということを。    家族で食事をする。その時必ずみんなで「いただきます」を言う。  私は弱々しく震えた声でそれを言い、ごめんなさい、ごめんなさいと心の中で唱えながら口に運び咀嚼する。
久雅永遠
久雅永遠
ものかき。