注文の多い彼女
「ダイスケくーん!おまたせー!」
「あ、あ、サキさん、ど、ども…」
「また『さん』なんて付けてる。呼び捨てでサキって呼んでほしいな?」
「あ、う…サキ…」
「よくできましたっ!」
サキと名前を呼ばれた長髪の女の子は嬉しそうに人差し指をダイスケの唇に当てた。
ダイスケは顔を真っ赤にし、目を白黒させながらどぎまぎしている。
そんなバカップルのようなやり取りを大学の構内でやるものだから周囲から羨ましいだのなんであんなデブ陰キャに、などと羨望と嫉妬の聞えよがしなひそひそ話が聞こえてくる。
ダイスケは体つきは太く、お世辞にも容姿は褒められたものではない。ただ、純朴そうなのが取り柄な俗にいう陰キャと呼ばれる人種である。
反面、サキは長い黒髪の顔つきもファッションも含め容姿端麗。成績もトップクラスの才女であった。彼女を狙う学生は後を絶たなかったがすべて轟沈していた…そう、ダイスケと付き合うまでは。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/1/23 11:54
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
紫水
大体3000文字前後の短編読み切りがメインです。
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