待っているから

待っているから
 とある大きな港町に、マツリという黒猫がいました。彼女はリツとミキという兄妹に飼われ、毎日幸せに過ごしています。  ある日、リツとミキがいつものように友人達と海で遊びに出かけるため、マツリは長い尻尾をゆらゆらと動かして、見送りました。その表情は穏やかで晴れ晴れとしています。  ミキが「いってくるね、マツリ。良い子にしててね」と元気に手を振ります。  リツが「土産に美味い魚持ってきてやるからな」と頭をぽんぽんと撫でます。  マツリは極楽気分で目を細め、喉をゴロゴロ鳴らしました。  カチ、カチ、カチ。時計の針が進む音を子守唄にしてソファーに寝転びました。  しばらくうとうとして、いつの間にか眠っていたらしく、気がついたら夕方になっています。いつもならもうとっくにリツとミキが帰ってくる時間なのに、その気配すらありません。  マツリはどうしたのかなとそわそわして、家の中を探索するように歩きました。寂しげに小さく鳴いても帰ってくることはなく、不安は募るばかりです。  時間は過ぎていき、そろそろ陽が沈みそうになる頃。近くから砂利と草を踏みつけ歩く音が聞こえてきました。  しかし、それがミキとリツの足音ではないことがすぐに分かりました。毎日、毎日聞いているのだから当然です。聞き間違えるはずがありません。
アヤっちゅ
アヤっちゅ
思いついたら書く精神なので、頻繁に投稿するわけではありません。人間より動物や虫が主役のストーリーが好きなので、そういったものを書こうと思います。 令和7年4月5日:追記「なんだか人間がメインの小説も書きたくなったので、人間と動物がテーマの小説を書いていきます」