嘘
俺の家系はみんな、20歳まで生きられない。両親が他界した後の家を兄が継ぎ、俺が産まれたばかりの頃から腕の良い医者が我が家に治療の為に来てくれるようになった。しかし、俺の兄は結局20歳の誕生日を目前に死んでしまった。そして、今日の0時で俺も19歳になる。つまり、このままいけば俺の余命はあと一年もないのだ。死ぬことに恐怖も特段なかったが、いざ死が近づくと怖くも感じるものだ。そんな俺は今日、医者の男に誘われて夜中まで飲み明かしていた。 3、2、1…… カチッ。時計の音と同時に、俺は19歳になった。めでたいはずの誕生日が、今の俺には死へのカウントダウンのスタートにしか思えない。 「…おめでとうございます」 医者が一口自分の酒を飲んでから、俺に祝いの言葉をくれる。
こたつねこ
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