劣等感

劣等感
 学生だった頃の私はいつも、「クラスで二番目に文章が上手い子」の位置にいた。  どれだけ好きで書いても、どんなに頑張って書いても、その一番の子の足元にも及ばなかった。彼らはいつも、表彰されたり、何か特別な賞に選ばれたりしていた。  私はといえば、ただ「書くのが好きって言いはっちゃってるけど、全然結果出ないただの凡人」だった。すごく、かっこ悪かった。  私は「書くのが好きだ」と言い続けなければならなかった。ほとんど自分や周りに言い聞かせるように、繰り返していた。「好き」であることでくらい、一番の子に勝りたかったのかもしれない。わからないけど、ひたすら言っていた気がする。  私、物語は書くのも読むのも好きなんだ。  それでも選ばれない私は他の人の目にどう映っただろうか。  つまり、二番手ってそういうことだ。
sae(嫁野さん)
sae(嫁野さん)
小説、特に純文学のようなもの。エンタメにはちょっと遠い。