朝の風

朝の風
246号線を朝日の方へ向かって走っていく人たちの顔には茜色の朝日が塗られていた。 みんな一様にその紅潮した顔に、鬱屈した、どこか、悄然とした色がうかんでいる。 そんな彼らのことを僕はコンビニの前で、うんこ座りでタバコを吸いたがら見るともなくぼーっと眺めていた。 タンクトップでは少し肌寒い戸外の空気。6月らしくない爽やかな天気と気温に戸外は満たされていて、僕はその空気を汚すかの如く、ジリジリとタバコ短くした。 正直タバコはあまり美味しくなかった。 タールが重いからなのか、それともIQOSを吸う機会が増えたからなのか、とにかく紙タバコことが減ってからといもの、紙タバコの味は吸うたびにどんどん不味くなっていっていた。 僕は仕方なくまだ半分残っているタバコを地面に擦り付け、立ち上がりコンビニの駐車所から出た。階段を降り歩道に出ると、朝焼けして黄金色に輝く東の空が現れ、僕の目の奥をジンとさせた。僕は思わず、目を細め、眩んだ空がにぼんやりと視界映った。少し冷えた戸外に体が少し震え、僕は自分の腕を摩った。 もう、朝で、もうすぐこの街は太陽に支配されようとしてた。 マンションの外壁に塗られた朝日、白く焼けた雲、透き通るような綺麗な水色の空。誰もが疎み、誰もが待つ明日と未来が今日もやってくる。僕にとって今日は待っていた未来なのか、少し考えてみたがわからなかった。渇望した未来は、現在が作る。僕はそんな名言のような当たり前の言葉を脳内で音読してみて、なんだか恥ずかしいような気分になった。 極論、どうでも良かった。
ばぶちゃん
ばぶちゃん
基本連載 時々短編 文章虚偽祭り ナポリ湾 少なめ健三郎 自然薯