短編小説 『屍の囁き』

 とにかく、慌てていた。  最初の異変は、窓の外から見える景色に、人の内臓が転がっていた所から始まった。 「――――ぐぅッ!」  ドンドン、ドン、ドンドン。  そうやって何度も、玄関先を殴る様に叩いてくる異型の生物は。映画でよく見るゾンビの様だったと思う。  鼻先から異臭がして、吐き出しそうな悪臭に全身が突き動かされる。思わず瞠目したその先には、腐りきって、血臭い腕が三、四と伸びてきていた。それを木製ドアで必死に抑えて、俺達の家族はこの数時間生きながらえていた。
へいたろう
へいたろう
適当に小説を書いている高校生です。 よろしくお願いします。 あまり他の方の物を読みません。気が向いたら反応します。