ピーナッツ
僕には食べられないものがある。嫌いや苦手ではなくアレルギー。それは僕にとって匂いですら天敵で、戦っても勝てないから防戦一方。給食に出てくる前にメニュー表から探し出し、攻撃をもらう前に撤退してもらっていた。戦わずして勝つ、というより戦いになる前から白旗降参。
周りの子はなんなくそれを食べたり嫌ったり、自分でそれとの距離を決めている。羨ましい気もしたが、だからといって対峙する気にもなれない。無くても生きていけるし、いや、無くしてるから生きていられるんだけど。
そんなこんなで僕とそれの戦いは離乳食期から始まっていたが、ただ僕が食べるか食べないかだけだと思っていた。
この戦いが僕だけの戦いではないと気づいたのは中学生になった頃、母との買い物で食材を選び新製品が出てる、なんて会話してる時だった。
「一つお願いがあるんだけど……」
「え、なに?」
「これ、買ってもいい?」
母が指差したのはパンにつけるジャムやクリームが並ぶ棚、その中の僕の天敵、ピーナッツバタークリーム。
「食べさせたりはしないし、あれならいない時に食べるから、ね」
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2022/3/14 0:04
犬狸
夢を見てみようかなと思った