恋する日,僕の最期をこの言葉に 2

恋する日,僕の最期をこの言葉に 2
凜と別れを告げて家に帰る。パッとスマホを見ると教員のグループが通知の嵐となっている。メンションまでつけられいる。友達同士のメッセージなら既読スルーして,翌朝ごめんごめんって言えば許される。でも教員。嫌でも顔を合わせる仲であるから既読スルーしておくと場の空気が重い。しかも,〈小テストあるので問題作成忘れないでくださいね。〉なんて書かれているし,いわゆる忠告だ。〈分かりました,ご連絡ありがとうございます。〉とだけ打つとぼふっとベッドに埋もれる。ふかふかだ。目を閉じれば眠りに誘い込まれる。でも風呂も入ってないし,ご飯も食べてない。あっ,洗濯もしてないじゃん。 墓参りぐらいで疲れることは無い。ただ凜のことで身体や精神が少し疲れたのだろう。光の妹と言うだけで神経を使うんだから。下手なこと言うとめんどくさい事になってせっかく得られる情報源を失うと大変だ。なんて考えていると風呂に入る気力も洗濯をするやる気も全てなくなってきた。うつらうつら夢に取り込まれる。 変な姿勢で眠っていたせいか身体がものすごく痛い。身体がつっている。うがぁ……と呻き声を出してふと我に返る。 「今何時……?ん〜,8時10分……?目覚まし壊れてるんかな?」 目覚ましは時間が狂うことがあるから信用は出来ないがスマホの時刻は正しい。正しいから8時10分。つまり,完全に遅刻だ。いい年こいた教師が寝坊により遅刻なんて口が裂けても言えない。パッとメッセージのアプリを開くと昨夜と同じく通知の嵐だ。休みなら連絡くださいや教師が遅刻なんて前代未聞です,なんて言われてしまっている。〈すみません,遅れるので代わりにHRお願いしますね。〉そしたら1件ポンと送られる。ざまーみろ。仲のいい教師友達の大樹だ。数学教師で生徒からの支持が高く,何より顔がいい。が朝から機嫌を悪くさせる天才と言えば天才。ともかく大樹は放っておいて遅刻と割り切ればゆっくり行こうという思考が働く。いつもなら乗らない乗車時間に乗り込み,座席に座る。ガタンゴトン……。通勤ラッシュにしては人がいない。7時とかに普段乗り込むから8時の電車は空いているのか。電車から降りるとちょうどピッタリ,8時30分。あぁ……もうダメだ。と諦めモードに完全に染る。職員室には何気ない表情ではいる。 「ごめんなさい,遅刻してしまいました。」 こんな人前で頭を下げるなんていつぶりだろう。赤面していく自分が恥ずかしい。大丈夫よ,人だもの。などフォローしてくれる人もいるが大樹だけは舌をべーと出している。しかもなぜこんな時に限って隣なんだ。 「いい大人が遅刻なんですか?結愛先生?」 「うっさい,わざとじゃないんだからいいでしょう?」 「まぁ……どうでしょうねぇwww」
嶌崎月夜
嶌崎月夜
TELLERでも活動しています。読み方はしまざきつきよ,です。普段書くお話は殺し物語ですがここでは恋愛物語を書かせてもらってます。よろしくお願いします。