アンコールの先に

アンコールの先に
夜の東京ドーム。観客の歓声がまだ耳に残る中、私は座席にぽつんと座っていた。干され席。推しの山田涼介くんは、ステージの向こうでライトに照らされている。 「涼介…!」 思わず叫んだ声は、まるで小石が湖面に落ちるように、彼の目に届いた。 次の瞬間、彼は真顔のままこちらを見つめ、そして笑った。 グーを出して、ワイパーもしてくれた――他の誰にも見せない笑顔。 その日から、私たちの距離は静かに変わった。
稟苺
稟苺
小説を書いています。 短編・恋愛・幻想ファンタジー中心。 読んでもらえたら嬉しいです🍓